技術情報

PCF合成床版

PCF合成床版の開発

PCF合成床版は、床版の下側を、トラス鉄筋を配置したRCプレキャスト版(PCF版)とし、これを型枠代わりにして上側のコンクリートを場所打ちしPCF版と一体化する、ハーフプレハブ合成床版の一つです。また、場所打ち部分にPC鋼材を設置し、橋軸直角方向にプレストレスを導入することにより、床版全体にプレストレスが導入されたPC床版となります。
よって、本工法は型枠・支保工などの現場作業の大幅な省力化を図った、場所打ちPC床版工法の一つと考えることもできます。
第二東名高速道路における開断面箱桁部への適用事例を以下に示します。

開発の経緯(藁科川橋の例)

藁科川橋は場所打ちPC床版を有する鋼少数主桁橋です。鋼桁には鈑桁と箱桁とがありますが、当初箱桁は閉断面で計画されていました。しかしコンクリート打込み後に導入するプレストレスを鋼桁(特に箱桁の上フランジ)が拘束することを懸念し、上フランジを切った形の開断面箱桁に変更することとなりました。
開断面箱桁の場合、箱桁内における型枠および支保工の組立・解体が必要となりますが、現場作業の効率化を図る目的から「箱桁内プレキャスト型枠床版(略称=PCF床版)」を開発しました。
尚、本橋における開発は、(株)宮地鐵工所、東海コンクリート工業(株)、日本カイザー(株)を含む4社共同にて実施しました。

PCF床版の特徴

PCF床版はトラス鉄筋を配置した工場製のハーフキャスト部材であり、箱桁内床版の下側を構成し、現場では埋設型枠として使用します。

  • 箱桁内における型枠および支保工の組立、解体が不要となる。また下側鉄筋を組み込んだハーフプレキャスト部材であることから、現場ではPC鋼材と上側鉄筋を組み立てる作業だけでよい。
  • トラス鉄筋を橋軸方向に配置することにより、PCF床版と場所打ちコンクリートとの一体性を確保。(プレキャスト導入試験、曲げる試験を実施し、一体性を確認済み)
  • 標準寸法は、幅2m×長さ6m×厚さ10cm。重量は、2.9トン/枚。
  • PCF床版のレベル調整にはレベル調整ボルトを使用する。
  • トラス鉄筋を橋軸方向に配置しているため、橋軸直角方向に配筋するPC鋼材の棚筋の役割をもたせることが可能。
  • 工場製品であり品質が安定している。
  • ハーフプレキャスト部材であることからフルプレキャスト部材に比べて製品重量が軽い。

一般図

PCF床版一般図

構造図

PCF床版構造図

PCF床版の据え付け作業手順

PCF床版作業手順
PCF床版吊り込み
PCF床版設置

PCF床版の試験

曲げ試験
(PCF床版+場所打ちコンクリート)
曲げ試験後の試験体(切断後)

PCF合成床版の適用性拡大への取り組み

PCF版を、箱桁部のみの単純版から張り出し部を含む幅員全幅に拡大することにより、現場作業のさらなる省力化を図ったPCF合成床版工法の実現を目指した研究開発に取り組んでいます。

施工性確認試験

1.PCF版打設工程
2.PCF版養生中
3.PCF版輸送
4.PCF版敷設作業
5.PCF版敷設完了
6.PCF版レベル調整ボルト/固定金具
7.グラウトモルタル打設
8.ループ内補強筋配筋
9.上端筋配筋完了
10.コンクリート打設
11.コンクリート打設
12.PC鋼材シース除去
13.PC鋼材緊張装置
14.緊張完了


実績紹介

工事実績の紹介